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UAEフリーゾーン法人における、法人税の扱い

UAEフリーゾーン法人における、法人税(Corporate Tax=CT)の扱いについて

VAT(付加価値税)|ワイズ コンサルタンシー
ドバイを含むUAE(アラブ首長国連邦)では、2023年6月から法人税が導入されました。

UAEフリーゾーン法人に関しては、2023年6月に入ってから、連邦法Cabinet Decision No.55 of 2023が発動され、フリーゾーン法人に対する法人税の適用方法が発表されています。

この記事を書いている2023年6月時点での情報、知っておくべき事項などについてこのページに既述します。
このページは新たな情報が入り次第、随時アップデートしていく予定です。

尚、このページはすでにUAEにフリーゾーン法人を設立した方、またはフリーゾーン法人の設立を検討している方に向けた内容です。
UAEフリーゾーン法人の法人税適用に関しては、以前から公に噂されていた「オンショア業務を行わなければ0%」は完全に覆され、ほとんどのフリーゾーン法人も9%の対象となる、多くの外国籍企業にとっては残念な内容になっております。以下、詳細をご確認下さい。

UAEフリーゾーン法人に対する法人税(CT)適用のキーポイント

  • 売り上げの額に関係なく、全てのフリーゾーン法人がFTA(UAE国税庁)に登録する必要あり
  • 法人税率:9%(Qualifying Free Zone Personであることを証明すれば0%)
  • 年間の純利益(Net Profit)に課される
  • 課税は、AED375000(およそ1170万円)を超える額から対象となる(年間の売り上げが、AED375000(およそ1170万円)以下のビジネスには課されない)
  • 2023年6月から導入予定(例えば、12月末が会計年度末の場合は2024年1月から対象)
  • 2026年末までの時限処置で、売り上げがAED 3 Million以下の小規模法人は0%納税の処置が受けられる

Qualifying Free Zone Personとは

Qualifying Free Zone Personであれば、0%法人税のベネフィットを受けられます。(ただし一般的に多くのフリーゾーン法人はこれに該当しません。)
Qualifying Free Zone Personは以下の条件です。

  • UAE国内のフリーゾーンに設立されている法人であること
  • 経済的実態要件(ESR)を満たしていること
  • Qualifying Incomeに該当する収入がほぼ全てであること(Qualifying Income以外が、全売り上げの5%未満かつAED 5 Million未満であればOK)

Qualifying Free Zone Personであることを証明するためには、「会計監査法人による監査」が必須となります。

多くのフリーゾーン法人にとってはQuialifying Incomeの内容が関心の的だったわけですが、残念ながらQualifying Incomeの適用範囲は非常に狭いものとなりました。

詳しくは次の項目へ↓

Qualifying Incomeとは

フリーゾーン法人において、売り上げのほぼ全てがQuialifying Incomeに該当する場合は、Qualifying Free Zone Personと見なされ、法人税0%を享受できます。

  • UAEのフリーゾーン(自社が所在する以外のフリーゾーンも含む)からのExcluded Activityを除く全ての業務による収入はQualifying Income
  • UAEオンショア、およびUAE国外の収入(日本の顧客を含む)はQualifying Incomeとは見なされません
  • Qualifying Activityに該当する業務であれば、フリーゾーン以外へのサービス提供であってもQualifying Incomeと見なされる

多くのフリーゾーン法人にとってのポイントは、(日本を含む)UAE国外の顧客からの収入はQuialifying Incomeとは見なされない、例えば日本の顧客相手の業務をUAEフリーゾーンで行っているフリーゾーン法人は法人税9%の納税となる、という事です。

Qualifying ActivityとExcluded Activity

フリーゾーン法人以外へのサービスの提供であっても、以下の業務に該当する場合は、Qualifying Incomeと見なされます。
Qualifying Activityに該当する業務は以下です。

  • フリーゾーン内の製造業
  • フリーゾーン内のプロセス業(パッケージプロセス等)
  • 持株会社
  • 船のオーナーシップ、オペレーション会社
  • 再保険サービス
  • 投資ファンド
  • ウェルスマネージメント業
  • ヘッドオフィス、ヘッドクォーター
  • 財務および財務サービス
  • 航空機リース
  • Designated Zone内(ドバイでは、Jebel Ali Free Zone、Dubai Airport Free Zoneが該当)でのディストリビューション業
  • ロジスティックス
  • 上記業務の補助的業務全般

一方、Excluding Activityとして挙げられているものには以下があります。
(Excluding Activity=フリーゾーン間取引であってもQualifying Incomeと認められない取引)
  • 個人に対するサービスでQualifying Activityに該当しないもの
  • 銀行業
  • 保険業
  • Finance and Leasing activities
  • フリーゾーン内の商業不動産以外の不動産のオーナーシップ
  • 知的財産資産のオーナーシップ
  • 上記業務の補助的業務全般


De Minimis Requirementと小規模ビジネス救済

Quialifying Activity以外の業務で、フリーゾーン以外(オンショア&UAE国外)へサービスを提供する場合、その業務が売り上げ全体の5%未満(かつAED 5 Million未満)であれば、Qualifying Free Zone Personとして認められます。

また、年間売り上げがAED 3 Million以下であれば2026年までは免税(法人税0%)です。

フリーゾーン法人における法人税納税の実例/シナリオ

ここでは、フリーゾーン法人が、0%納税か、9%納税か、または小規模ビジネス救済で申請するか、を判断するアセスメントのために、よくあるケース/シナリオをシンプルな例にして説明します。

(1)年間売り上げ: AED 5 Million、純利益:AED 2 Million、顧客全体のうち5%以上が日本を含むUAE国外の法人

この場合、納税は9%です。
納税額の対象となるのは、経費を除いたAED 2 Millionに課されますが、AED375000までは免税のため、

AED 1,625,000 x 0.09(9%)= AED146,250の納税

(2)年間売り上げ:AED 2.5 Million、純利益:AED 2 Million、顧客全体のうち5%以上が日本を含むUAE国外の法人

この場合、納税は9%ですが、2026年までは「売り上げ:AED 3 Million以下に適用される小規模ビジネス救済措置」が受けられ、納税額はゼロ、2027年以降は以下の納税額が発生する見込みです。

納税額の対象となるのは、経費を除いたAED 2 Millionに課されますが、AED375000までは免税のため、

AED 1,625,000 x 0.09(9%)= AED146,250の納税(2027年以降)

(3)年間売り上げ:AED 5 Million、純利益:AED 2 Million、顧客全体のうち95%以上がフリーゾーン法人の顧客

この場合、監査を行い、Qualifying Free Zone法人として認められれば法人税は0%です。

(4)年間売り上げ:AED375000以下(全く無し、を含む)

納税は0%、納税額ゼロですが、上記の1〜3のシナリオと同様にFTAに登録し、申告を毎年行う義務はあります。

ブックキーピングの必要性

上記いずれの場合も、Tax Invoiceやレシートの管理、FTAからの要求などを想定し、FTAに登録された法人は正しくBookkeeping(簿記)を行い、会社の出入金を明確にし、要求があればいつでも提出できる体制にしておく必要があります。

法人税の導入により、売り上げがAED375,000以下のフリーゾーン法人であっても、法人税の対象とならない証明が必要となるため、今後は全ての会社においてブックキーピングは必須です。

ブックキーピングは、小さい会社であれば自分で行っても良いし、誰かしら専門のスタッフを雇うことも考えられます。不要なペナルティを避けるため、正しい方法でこれを行うことは非常に重要です。(弊社ワイズコンサルタンシーはAccounting&Bookkeepingの業務ライセンスを取得しております。)

主な保管しておくべき書類
  • インボイス
  • クレジットノート/デビットノート
  • 輸入/輸出書類
  • Accounting Books(会計帳簿)

ワイズ@ソーシャル・ネットワーク

弊社ワイズ・コンサルタンシーでは、ドバイ情報、法人設立・法人維持やビザに関するレギュレーションの変更、ドバイ不動産情報などについて、常にソーシャル・ネットワークにて最新の情報を配信しております。

度々レギュレーションが変わり、情報が錯綜しやすい地域特性もありますので、最新の情報に興味のあるお客様は、是非ワイズ・コンサルタンシーのSNSページのフォローをご検討下さい。

VAT(付加価値税)&税金、関連コラム

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NOV
16
ついにVAT(付加価値税)詳細が姿をあらわした。
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この記事は2018年1月にVAT(付加価値税)が実際に運用される前に書かれたコラムです。一部当時の予想を含んでおり、実際とは異なっている点もあります。 運用後の詳しい情報は以下のリンクを御覧下さい。 VAT(付加価値税)に関する情報|ワイズ・コンサルタンシー 来年2018年から始まると発表されていたUAE初の本格的な税制度、VAT(付加価値税)だったが、詳しい内容、特にフリーゾーン法人のビジネスにどう関わってくるか、についてはExecutive Regulation待ち、という状況が続いていた。 本来は「10月に発表される」という予定だったが、結局VAT開始の1ヶ月半前のここに来て、いよいよドラフト版が公開された。 そんなわけで、内容をさらっと確認し、特に日本人が行うビジネスに該当するであろうと思われる幾つかの条項について解説したいと思う。 (私は法の専門家ではありませんので、ここに書く内容にてついては保証しません。各自でご確認をお願いします。) まずVATの大枠について 先月からFederal Tax Authority(無理やり日本語にするなら連邦国税庁?)に登録する様に、と各方面で告知がなされていた。実は弊社もすでに申請は済ませており、登録を待っている状態だ。この登録義務には条件があり、それは以下のようなものだっだ。 Taxable Supply (Goods or serivice)の売上がAED150 Million以上の法人:10月末まで Taxable Supplyの売上がAED10 Million以上の法人:11月30日まで Taxable Supplyの売上がAED375,000以上の法人:12月4日まで そこで疑問は "Taxable Supply"とはなんぞや、ということだと思うが、ぶっちゃけこれはほぼすべての物品(やサービス)が入ると考えてしまって良い。Taxable Supply以外はExempt Supplyと言うが、これに相当するのは、 土地 居住不動産賃貸価格や、ディベロッパーから直で購入する不動産 公共交通 金融業の一部 などであって、殆どの日本人が行うビジネスはこれらに入らないからだ。 だがTaxable Supply全てに5%のVATがかかるか、というとそうでは

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MAY
10
徐々に形を表してきた、VAT(付加価値税)導入のフレームワーク
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UAE(を始めGCC諸国全体)では、過去数年のオイル価格の下落とその長期化の予想の影響から、付加価値税(VAT)の導入を決めた事は1 年以上前のコラム、「ドバイ/UAEでVAT(付加価値税)導入が発表された」で書いた。 この記事は2018年1月にVAT(付加価値税)が実際に運用される前に書かれたコラムです。一部当時の予想を含んでおり、実際とは異なっている点もあります。 運用後の詳しい情報は以下のリンクを御覧下さい。 VAT(付加価値税)に関する情報|ワイズ・コンサルタンシー 時が経つのはとても早い。(子供が生まれてからは特に・・・) 実際の運用開始を8ヶ月後に控え、純粋なスペキュレーションを含め現在さまざまな情報が出てきている。 UAEのVAT導入のフレームワーク(Educated Guessによる) UAEのMinistry of Finance(財務局)が最近様々なオープン・ワークショップを行っており、法律の根幹となるであろう様々な事項が一般にシェアされはじめた。 そこで、ここでは弊社で耳にした(目にした)いくつかの事項についてまとめたい。(あくまでもウワサの範疇で、実際の運用がどうなるかはまだ未定) 付加価値税率は5%で、一部のアイテムにはゼロ%。 年間AED375,000以上(1000万円程度)の売上がある企業が対象で、年間AED187,500以上の会社は自由意志にによる申告  VAT専用のポータルサイトが2017年10月1日にオープンするだろう  付加価値税の支払いは四半期ごとが濃厚  VAT税の登録と支払いは電子決済にて  医療と教育セクターは非課税  不動産セクターには特別なルールが設けられる可能性 ファイナンシャルセクターとフリーゾーン会社については特別なルールか設けられる予定であるが、今のところ詳細は未定  GCC諸国内の貿易取引に関しては、特別なルールが設けられる予定。 ここで上記から個人的に気になるものを幾つかピックアップしたい 「一部のアイテムにはゼロ%」 前回VATに関するコラムを書いたときには、付加価値税の除外アイテムリストの中に「自転車」というのがあって、「え?」と思われた方も多いかもしれない。 これは何かと運動不足で糖尿病患

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FEB
25
ドバイ/UAEでVAT(付加価値税)導入が発表された
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この記事は2018年1月にVAT(付加価値税)が実際に運用される前に書かれたコラムです。一部当時の予想を含んでおり、実際とは違っている点もあります。 運用後の詳しい情報は以下のリンクを御覧下さい。 VAT(付加価値税)に関する情報|ワイズ・コンサルタンシー 「税金ゼロの国」という宣伝文句は使えなくなってしまった。 数日前に「ついにUAEでも法人税の導入か」というコラムを書いたばかりだったのだが、早速2018年1月からのVAT(付加価値税=消費税)導入決定がUAE財務相より発表された。 理由は先のコラムでも書いた通り、オイル価格下落の長期化が予想される中、中東GCC諸国ではオイル以外の財源確保、すなわち財政収入の多角化を狙っているためだ。   [PR] (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 詳しい内容はまだ決まっていないものの、現在わかっている範囲では利率は5%。その他、 100品目の食品 医療 教育 自転車 には非課税だ。 自転車??? と不思議に思うかもしれない。勝手な予想だが「健康促進に良い」ということで推奨されているからなのだろう。 ただしドバイの街中は全くもって自転車フレンドリーではない。 暑い上に車の運転は荒いので、街で自転車に乗るには命を捨てる覚悟をしなければならない。 まあそれは置いといて、このVATだが、リテール業者から徴収するのは想像できるが、日系企業も多く在籍するフリーゾーン内の会社の売り上げに対してどのように適用されるのかはまだよくわからない。 UAEのフリーゾーン(経済特区)に関して言えば、ドバイ首長国内では会計監査の義務化が2、3年前に始まったばかりだが、他の首長国では実質的に会計監査をしなくてもよいフリーゾーンも未だにある。 このような状態で、2年後からどのようなシステムで5%を徴収するつもりなのかがわからないのだ。 特にフリーゾーンの会社のインカムはUAEの企業や個人からではなく、主に外国からの支払いによって成り立っている。 よってフリーゾーン会社の売り上げには適用されない、という事も十分にあり得る。 今後、このあたりは注視していき、具体的な内容が分かり次第、このブログ内や、弊社のツイッター、Faceb

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FEB
22
ついにドバイ/UAEでも法人税の導入か
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とは言ってもUAEでは2018年以降を目指した法改正のための「スタディを行っている」という段階の話です。 まだまだ実現するかどうかは未知数。 UAEを始めとするGCC諸国ではオイル価格の下落が激しい昨年後半から、盛んに直接税導入の議論が行われている。 2016年に入り、隣国オマーンではすでに15%の法人税導入を発表した。(以前のオマーンでは30,000オマーンレアル=USD77,922以上の利益のある会社のみに12%の法人税が課せられていた。) GCC諸国では、これまでもVAT(付加価値税、日本の消費税の様なもの)を中心にした直接税の導入の話はかれこれ10年ほど前からあったのだが、最近のオイル価格の下落によりこの動きが一気に加速した様子だ。   [PR] (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); VAT=付加価値税に関しては、遅かれ早かれ導入されるのだろう。購買意欲の高いUAE居住者にとっては、日本と違い消費税導入くらいでは景気にはさほど影響しないのではないだろうか。 しかもヨーロッパ人居住者にとっては5%導入したところで自国に比べたらまだまだ安くて魅力だ。何せヨーロッパのVATは軒並み20%台だからだ。 注目かつ気になるのは法人税(法人所得税:CIT=Corporate Income Tax)の方だ。(所得税の導入は予定していない) UAEではこれまで、銀行業とオイル会社以外の法人は法人税を取られることは無かった。(ただし「ライセンス料金」という形で実質的に税金のようなものは払っていたが。) 「オイル以外の財源を確保する」ということでは直接税の導入を評価する声もあるのだが・・・ それは建前だろう。 そもそも「法人税が全く無い」からUAEに現地法人を置いている企業/インベスターも相当数いるわけで、法人税の導入方法によっては無税/税金が安い魅力が半減してしまい、海外からの投資が先細りする、などの痛手が無いとは限らない。 ちなみに現在のところ、ローカル会社への法人税の導入、という方向がまずあり、フリーゾーン会社はフリーゾーンごとに任せる、という方向で議論が進んでいるようだ。 ん?UAEのフリーゾーンは50年間の法人税無しが保障されていたはずだが

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