常に議題には上がっていた法人税導入が、いよいよドバイ(UAE)に導入される事が、2022年1月31日(夜中)に突然発表されました。2023年6月より運用開始となります。(ドバイで一般的な、12月末が会計年度末の会社は、2024年の売り上げから対象、2025年1月以降が最初の申告となります。)
UAEにて導入される法人税概要(現時点で発表されていること)/キーポイント
- 法人税率:9%
- 年間の純利益(Net Profit)に課される
- 課税は、AED375000(およそ1170万円)を超える額から対象となる(年間の売り上げが、AED375000(およそ1170万円)以下のビジネスには課されない)
- 2023年6月から導入予定(例えば、12月末が会計年度末の場合は2024年1月から対象)
- 条件を満たしたフリーゾーン法人は除外される(「条件を満たす証明方法」については監査法人による認可が必須)
- ローカル法人は業務に関係なく9%が適用される
- 2026年末までの時限処置で、売り上げがAED 3 Million以下の小規模法人は0%です。
法人税(9%)の対象/対象外となる法人
以下に該当する個人/法人以外は、フリーゾーンかローカル法人かに関わらず、全て法人税の対象となります。
- 政府機関
- 閣議決定の対象となった政府系の会社/団体
- 資源開発業務を行うビジネス
- あらかじめ認定された公益法人
- 公的またはプライベートの年金機構
- あらかじめ認定された投資ファンド
- 政府機関の100%子会社、政府機関が100%持つ投資ファンド等
*フリーゾーン法人も「法人税の対象である」という理解が必要です。
UAE法人税法におけるフリーゾーン法人の扱い
フリーゾーン法人に対する法人税の適用は、行う業務、法人規模により変わってきます。ややこしいため個別のページを設置しました。以下のリンクをご参照下さい。
収入のほとんどを「Qualifying Income」で占めるフリーゾーン法人(Qualifying Free Zone Person)は、法人税0%を享受できますが、ほとんどのフリーゾーン法人はそれに該当しないと考えられます。詳しくは上記リンクをご確認下さい。
Qualifying Free Zone Personであることを証明する方法については、「会計監査法人による監査」が要求されます。
法人税納税の実例
ローカル法人(オンショア法人)や、オンショア業務を行うフリーゾーン法人等、法人税の対象となる法人は、以下の方式で納税額を算出します。
- 純利益がAED375000を超える法人:9%納税
- 純利益がAED375000を超えない法人:0%
例えば、年間の純利益がAED400,000だった場合、AED375000には法人税がかからず、その額を超えた分:AED25,000が納税の対象となります。
AED25,000 x 9% = AED2,250
AED2,250 が納税額となります。
Federal Tax Authority (FTA)への登録義務
よって、VAT(付加価値税)と同様に、年間の売上がAED 375,000以上の法人は、FTAへの登録が義務付けられます。
Federal Tax Authority 法人登録ウェブサイト
FTAへの登録が完了すると、TIN(Tax Identification No.)の記入されたCertificateが発行されます。
このTINナンバーは、インボイス=タックス・インボイス(請求書)を顧客へ出す際に、請求書上に必ず記述する必要があります。
Federal Tax Authority 法人登録ウェブサイト
FTAへの登録が完了すると、TIN(Tax Identification No.)の記入されたCertificateが発行されます。
このTINナンバーは、インボイス=タックス・インボイス(請求書)を顧客へ出す際に、請求書上に必ず記述する必要があります。
正しいブックキーピング(簿記)の必要性
Tax Invoiceやレシートの管理、FTAからの要求などを想定し、FTAに登録された法人は正しくBookkeeping(簿記)を行い、会社の出入金を明確にし、要求があればいつでも提出できる体制にしておく必要があります。
法人税の導入により、売り上げがAED375,000以下のフリーゾーン法人であっても、法人税の対象とならない証明が必要となるため、今後は全ての会社においてブックキーピングは必須と考えて頂いた方が良いです。
ブックキーピングは、小さい会社であれば自分で行っても良いし、誰かしら専門のスタッフを雇うことも考えられます。不要なペナルティを避けるため、正しい方法でこれを行うことは非常に重要です。
現状、UAEで多く使われている主な会計ソフトはQuickbooksやSage、Tallyなどで、今からBookkeepingを行うのであれば、これらUAEでメジャーな会計ソフトの使用をお勧めします。
主な保管しておくべき書類
ブックキーピングは、小さい会社であれば自分で行っても良いし、誰かしら専門のスタッフを雇うことも考えられます。不要なペナルティを避けるため、正しい方法でこれを行うことは非常に重要です。
現状、UAEで多く使われている主な会計ソフトはQuickbooksやSage、Tallyなどで、今からBookkeepingを行うのであれば、これらUAEでメジャーな会計ソフトの使用をお勧めします。
主な保管しておくべき書類
- インボイス
- クレジットノート/デビットノート
- 輸入/輸出書類
- Accounting Books(会計帳簿)
法人税導入に関する所感
税金ゼロのコマースバブ(Commerce Hub)として、世界中からビジネス/富裕層を呼び込んできたドバイは法人税導入により帰路に立たされます。
安易な節税目的の法人設立が横行していた今までの状況から、
- ドバイ自体が人・ビジネスを惹きつける魅力を持つか
- 他の税金が低い国々に比べ、アドヴァンテージがあるか
- ビジネス/金融インフラは整っているか
- 政治的/地域的に安定したビジネス環境を提供できるか
といった内容に焦点が当てられ、それらの向上が図られていくと考えられます。
UAEでは過去1〜2年の間に、100%外資によるローカル法人設立を認可、週末の土日への変更、お酒にまつわる法の緩和や結婚していないカップルの同居等、さまざまな事項で(特に欧米人にとって)ビジネスフレンドリーな環境を提供する政策を矢継ぎ早に導入してきました。
税金ゼロという圧倒的に有利な税制により人を呼び寄せる方策から、街自体をより魅力的にすることで人を呼び寄せる方向へと転換を試みる時期に来た、という事が言えます。
日本のお客様にとってドバイへのビジネス移転/移住は、税率9%(個人の所得税等は引き続きゼロ)に優位性があるかどうか、という点はもちろんのこと、その他の低税率国家(香港やシンガポール、ラブアン)に比べ、ビジネス環境、子供の教育を含む生活環境、などに魅力があるかどうかを評価した上での選択となると思います。
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